「でー、俺に用ってのは?」
「あ、あの…昨日パンを買っていただいたので、そのお礼にと思って…」
ずっと握りしめていたジュースはなんとなくぬるくなっているような気がして申し訳なく思いながらも、それを手渡す。
「昨日は、ほんとに助かりました。あ、ありがとうございました…!」
お辞儀をしたあと大和先輩を見上げる。
すると、バチッと目が合った瞬間、柔らかく微笑んだ──
「こちらこそ ありがとな」
「い、いえ…! あの、ジュースはわたしが選んだので好きなものではないかもしれませんが…」
「春香ちゃん謙虚すぎ」
「えと、あの…」
お礼を言いに来ただけだったから、そのあとの会話なんて想定していなくて、どうやって話せばいいのかパニックになる。
そんなわたしを見て先輩と紬ちゃんが笑った。
「ちょっと、紬ちゃん…!」
「ごめん。春香が可愛くて」
「俺も同じく」
「…!?」