「俺だって一途に愛されてぇ……」
腕で涙を拭く素振りを見せる先輩。
その様子を大和先輩は呆れながら見ていて、「…今度紹介してやっから」とボソッと呟いた。
その言葉を聞いた別の先輩は、「まじで!? 約束だからな?」と嬉しそうにガッツポーズをしながら、その場を離れた。
さっきの泣き真似は何だったんだろう……。
それに、いきなり現れたかと思えば騒いで周りの視線を集めたり、泣き真似をしてみたり。
今度は嬉しそうに向こうで騒ぎ始めている。
とんだ人騒がせだ、と心の中でポツリと呟く。
「あー…っと。とにかく ここうるせぇし場所移動すっか」
「あ、…はい」
髪の毛をがしがしと掻いたあと、ポケットに手を突っ込んで廊下を歩き始める先輩。
そのあとを紬ちゃんと二人で追いかけた。