「俺に用?」
キョトンとする先輩は、“何で俺に用があるのか分からない”そういった顔をしていた。
「あ、あの…」
お礼を言ってジュースを渡すだけだ。───それなのに言葉に詰まるのは、他の先輩たちの視線が気になってしまうから。
「大和──…って、もしかして告白?」
先輩のうしろからひょっこり現れた別の先輩が、そんなことを言った。
それに慌てて否定をしようと思った時、「なわけないだろ。後輩を茶化すな」と頭を軽く叩いた後ため息を吐いた。
「ほらあっち行け」
「えー 俺も可愛い子と話してぇよ」
「可愛い子だったら誰でもいいのかよ」
「いい!」
「…そんなんだから二股かけられんだよ」
わたしたちの目の前で繰り広げられる謎のやり取りを聞いて、紬ちゃんがふふっ、と笑った。