「うーん、…久遠先輩いないね」
「…うん。」
先輩に聞けば、お友達のクラスも分かると思ったのに、先輩がいないんだったら振り出しに戻ってしまう。
ど、どうすれば……
「春香ちゃん?」
「あ。…大和、先輩」
がいた。
「あれ。俺、名前教えたっけ」
「い、いえ。智紘先輩が…」
教えてくれました、と言う前にすでに理解したのか“ああ、なるほど”と苦笑いする。
「ひろに用?」
ポケットからスマホを取り出し、智紘先輩に連絡をしようとする大和先輩。
今、智紘先輩を呼ばれたらまずい…
「────ち、違うんです。あ、の。大和、先輩に用が あるんですけど……」
言い終えて周りを見ると少し人が集まり始めていて、なんだか一気に恥ずかしくなりカァッと顔が熱くなる。