「どうかした?」


心配そうな顔で覗き込む、紬ちゃん。──に、慌てて笑顔を作って見せた。


「──…なんでもない」

「ほんと?」

「うん、大丈夫」


紬ちゃんに心配かけちゃダメだ。

お昼休みという貴重な時間を、わざわざついて来てくれているのに、わたしが勝手に落ち込んでどうするの……。

お礼に行くわたしが元気がなくてどうするの。


これ以上迷惑をかけないためにも、今は自分の感情を消さなきゃ。

今だけは見て見ぬふりをしなきゃ。

だから、さみしいなんか思っちゃダメ───…


「…じゃあとりあえず2組行こう」


紬ちゃんの言葉に頷いて、そのあとを追った。


並んで廊下を歩く二人。

わたしの隣で、わたしを心配そうに見つめるその瞳に気づくことはなかった。