「ねぇ、紬ちゃん。お礼って普通はどんなことするの?」
智紘先輩に聞いてみたけど結局昨日はあれから何も教えてくれなかったから…
仕方なく紬ちゃんに相談することにした。
「お礼…って誰かに何かしてもらったの?」
「うん。ちひ……久遠先輩のお友達に、パンを買ってもらったの」
「へぇ、そんなことがあったんだ」
「だからね、お礼してあげたいんだけど…」
男の人にお礼って普通は何をすればいいのか分からなくて、昨日からそればかり考えていて頭の中はショート寸前だった。
「普通に“ありがとうございました”ってお礼しに行けばいいんじゃない?」
高い位置で束ねられている綺麗な髪が心地よさそうに、ふわりと揺れるのを見つめながら、紬ちゃんの言葉に耳を傾ける。
「それだけじゃあ、春香が納得しないようならジュースでも買って行けばいいんじゃない」
「そういうのでいいの…?」
「まぁ、時と場合によるだろうけど…って、春香。お礼ってどんなもんだと思ってんの?」