「人混みの中パンを買いに行ったら、春香ちゃんは誰にでもお礼するの?」

「え…?」

「もしそれが大和じゃなくて他のやつでもお礼すんの?」

「え、と……智紘先輩…?」




「俺以外の誰かに懐くのダメ」


そう言って真っ直ぐわたしを捉える、その瞳。

逸らしたいのに逸らすことができなくて、ゴクリと息をのむ。


「勝手に懐いちゃダメじゃん」

「え、と…?」


「俺が一番最初に見つけたんだ」


一番最初? 見つけた…?

そもそも先輩は何の話をしてるの…?

聞きたいことは山ほどあるのに、喉の奥が貼りついたみたいになって言葉が出てこない。