私は、その言葉に衝撃を受けた。
まさか、母にそんな事情がまだあったなんて!?
甲賀の当主が母に惚れていて
失ったのを伊賀のせいにしているなんて……。

「だが、それだと逆恨みともとれるんじゃないのか?
許嫁なんて親同士の口約束に過ぎないが……」

リュウ様は、そう言ってきた。
確かに逆恨みだと、とれなくもない。
いくら許嫁だとして母は、甲賀の当主のことを
好きではなかったかもしれない。
いくら、そこの当主が好きだったとしても……。

「そうだな。まったくの逆恨みだ。
しかし紅葉を死に追いやったのは、間違いなくワシだ。
幸正がワシを恨むのは、仕方があるまい。
だが、このままでは、済ませられない。
死人は、出なかったものの怪我人や家などを
燃やされたりした。
次は、死人が出るかもしれん。そうなる前に
我々が先手を打たないと伊賀が滅ぼされるぞ!」

「我々も年をとった。
後は、影近達……若い衆が活躍してもらわないと」

老人達も口を揃えてそう言ってきた。
このまま攻撃をされていたら伊賀が滅ぼされる……?
そんな……。

私は、正直戸惑っていた。
せっかく会えたのに……滅ぼされるなんて嫌だ。
すると一緒に来た双子の男の子達は、口を揃えて

「それは、心配及びませんよ!!
我らには、紅葉様のご息女様が居るのですから
天才くノ一と言われていた紅葉様の
血を引いたご息女様なら百人力ですよ!!」

私が戦に参加するようなことを言ってきた。
えぇっ……ちょっと待て!?
私は、そんなこと一言も言っていない。

「ま、待って下さい。私は……そんな」

「ほう。お前が……参加するのか?
しかし相手は、伊賀と同格の強さがある甲賀だ。
そんな奴を相手に殺り合えるとは思えんが?」

「大丈夫ですよ。紅葉様の血を引いて
影近様とも互角の強さを持っているみたいですし」

ちょっと待たんかい!!
勝手に話を進めないでよ!?
私は、心の中でそうツッコミを入れた。

「あのですね……私は……」