リュウ様は、頭を下げて頼んでくれた。
私は、涙が溢れるぐらいに嬉しかった。
初めて産まれてきたことを認められた気持ちだった。
「俺からもお願いします。
もう……ギルス王国とは、争いたくない。
こいつらに出会って……船でも話し合って
悪い奴らじゃないと分かりました。
紫帆のためにも争わずに解決してやりたいんです」
すると影近まで一緒になって頼んでくれた。
敵同士だったけどもうその影は、無くなっていた。
祖父は、その姿を見て深いため息を吐いた。
「紅葉には、悪い事をしたと思っている。
そのせいで甲賀との仲を悪くさせた」
祖父は、悲しそうに口に出してきた。
えっ……?
何故それが甲賀との仲を悪くさせたのだろうか?
「そうだ。甲賀が襲撃をして来たんですか!?
状況は、一体?」
影近が慌てて状況を聞いてきた。
そうだ。酷い状態だった。あんな風になったのも
何が原因なのだろうか?
すると老人の1人がため息を吐いた。
「あぁ、そうだ。甲賀が襲撃してきた。
今回は、甲賀の忍びが不慮の事故で死んだ。
それをたまたま近くで任務に当たっていた伊賀の
仕業と言いがかりをつけてきたんだ。
そうではなくても甲賀は、伊賀を憎んでいる。
……昔は、そうではなかったのだがな」
「どうしてなんですか?
同じ国で忍び同士なのに……」
私は、気になり尋ねてみた。
同じ忍者同士なのに……。
「伊賀と甲賀は、隣同士の里もあり協力して
やってきた。特に現在の当主・望月幸正は、
紅葉の許嫁同士の間柄だった」
えっ?
母と甲賀の当主が許嫁同士!?
またまた意外な真実を聞かされることに。
「それは、伊賀と甲賀にとって大事な縁談だった。
だが、しかし。ある依頼でギルス王国に
密偵に行ったはずの紅葉は、帰って来なくなった。
ギルスの男と恋に落ちていたからだ!
その後、出産をして…捜し見つけた頃には、
お前さんの姿は、無かった。
伊賀にとって裏切り行為は、処罰の対象になる」
「子供やその男を守るために紅葉は、自害した。
だが、それは……甲賀にとって何より裏切りと
怒りを買うことになった。
幸正は、紅葉に惚れていたからな。
紅葉に裏切られ、しかも自害に追い込ませた
伊賀を憎むのも当然なの知れん」