「半蔵殿……?」
「アハハッ……実に面白い。
ワシの具合を心配して曾孫を連れて
わざわざと敵地に足を踏み入れただと……?
実に馬鹿な事を……怒りを通り越して
笑いが止まらない話だ」
呆れたのだろうか?
とにかく豪快に笑っていた。
周りも私達も動揺していた。何故かと。
「笑って頂いても構いません。
俺は、本気であなたを心配して
話し合いがしたいのですから」
「なるほど……どうやらギルス王国の国王は、
食えない男だったようだな。面白い。
気に入ったぞ。歓迎しよう」
祖父は、ニヤリと笑った。
どうやら陛下の事を気に入ったようだった。
しかしまだ油断はできない。
「いいのか!?半蔵殿……あやつらは、敵。
信用しても……」
「どうせ……曾孫が居る前では、下手な事は出来ないと
踏んでいるのだろう。
それに……この国王は、食えない男だ。
ワシらの事を何処まで把握しているか分からん。
下手に逆らうのは、危険だろうしな」
「いえ。昔から思いつきで
行動をするところがありまして……今回も
アイリスの気持ちを組んだまでです」
陛下は、ニコッと笑った。
2人の笑い方が何だか怖く感じた。
何を考えているのか分からないから。
すると静かに聞いていたリュウ様が口を開いた。
「俺もあなたとちゃんと話をしたくてついてきました。
叔父の事で色々と聞いていましたし調べてきました。
叔父は……本気で孫娘の紅葉嬢を愛していました。
病で死ぬまで、ずっと1人で
幼い俺に恋人の話をしてくれました。
とても聡明で綺麗な女性だったと
叔父にとって最愛の人だと聞かされています」
リュウ様……。
母は、そんな男性と恋をして私を身籠ったの?
私は、望まれて産まれたと言われているようだった。
「……紅葉……」
「叔父の事を許せとは、言いません。
ただ2人の恋を認めてあげてほしいのです。
それは、アイリスのためになる。
紅葉嬢は、叔父を本気で愛していたからこそ
アイリスを産んだと思うのです。
叔父の子供だったから……だからお願いします」