影近は、気にしているのだろう。
ミアを殺めてしまったことで
自暴自棄になっているように見えた。
「ダメよ……それは。あなたは、ミアのために
生きないと。死んだらミアが悲しむわ。
ルチア様。私からもお願いです。
この人達を助けてあげて下さい。
ミアのためにも東洋に帰してあげて下さい」
「アイリス……お前!?」
私も必死に頼むので影近は、驚いていた。
そんなことしてもミアは、喜ばない。
彼女のためにもちゃんとした故郷で
眠らせてあげたかった。
陛下の命を狙ったとんでもない奴だけど
本当に悪い奴には、見えなかった。
ミアも仲間達も彼を大切に思っている。
すると陛下は、クスッと笑い私の頭をポンッと
撫でてくれた。
「そうだな。一度お前らの長に……アイリスの祖父に
挨拶をした方がいいな。
よし。俺らも一緒に行くか。アイリス」
「は、はい……?」
帰してあげてほしいとお願いしたが
一緒に行きたいとは、言っていない。
いや。えっ?行くって東洋に!?
「えっ?一緒に行くって東洋の国にですか!?」
「あぁ、コイツらを帰すついでに
曾孫であるアイリスを見せに行くなら一石二鳥だろ?
それに東洋との交友関係を築きたい。
今後の発展のためにも……てっか東洋って
何が名物なのかな?」
目がキラキラさせながらそう言ってきた。
あ、興味津々だ!
どうやら好奇心に火がついたようだった。
「はぁっ?交友関係ってお前ら正気か!?」
影近は、驚いていたが私も驚いていた。
いいのだろうか?そんな簡単に決めてしまって。
不安がっていると陛下は、クスッと笑った。
「それに……アイリスも本当は、行ってみたいんだろ?
会った事が無くても血の繋がった祖父が病で具合が
悪いのなら心配をして様子を見に行きたがって当然だ!」
ウィンクをしながらそう言ってくれた。
もしかして陛下……私のために!?
陛下の心遣いに胸がキュンとなった。
だが、しかし。陛下まで東洋に行くとなると
この人が黙ってはいなかった。