陛下は、またクスクスと笑うと私にキスをしてきた。
相変わらず何を考えているのか分からないけど私は、
心の中では、嬉しくて仕方がなかった。

そしてパーティー当日。見事にドレスは完成した。
淡い水色のドレスには、たくさんのレースと
キラキラした宝石みたいな飾り付けがしてあり
とても綺麗な仕上がりになっていた。
これを着るとまるでお姫様になったような気分だった。

「フフッ……やはり思った以上によく似合うな。
最高級の生地に有名な職人がデザインした
レースを使用している。さぁ、仕上げだ!」

そう言うと陛下は、自ら私の髪をセットして
メイクをしてくれた。なぜやり方を知っているのかと
聞いたら母に教えてもらったと言っていた。

相変わらず陛下の母……女王陛下は、
どんな教育方針なのだろうか?変わっているわね。
不思議に思いながら出来上がると全身が映る鏡で
自分自身を見てみた。

「嘘っ……これが私?」

「綺麗だ……俺のアイリス」

まるで魔法にかかったかのように見違えていた。
陛下は、しゃがみこむと私の手の甲に
キスをしてくれた。
まるで本当にお姫様になったような気分だった。

「さぁ、行こうか。皆が待っている」

「……はい。」

私は、ドキドキする気持ちを必死に押さえながら
返事をした。そして城内にある舞踏会ホールに向かった。
広い舞踏会ホールには、たくさんの王族や招待客が
集まっていた。

1人1人国王陛下の名を読み上げると
夫婦揃って現れた。
どの王族の国王夫妻も華やかで綺麗だった。

『こちらアルフェット大国から
エリック・アルフェット国王陛下と
マリア夫妻でございます』