「何ですか……そのステップは!?
それでは、立派なレディになれませんよ」

「は、はい。すみません」

私は、騎士なんだけど……。
そう思ったが文句も言えず必死にダンスの特訓に
励んだ。き、キツい……。

スパルタで指導をされるためヘトヘトに
なってしまった。休憩をしながら水を飲んでいると
陛下は、その訓練を見ながらチクチクと
縫い物をしていた。
本当に作っている。私のドレスを……。

「あの……それ私のドレスですか?」

「あぁ、何とかパーティーには、完成をさせないとな。
まず仮縫いをしているところだ」

仮縫い……ですか?
それからも陛下は、毎日のようにドレス製作をしていた。
夜なべもする事も多く今日も夜遅くに部屋で
ミシンを使い縫っていた。

どうして、そこまでして
私のドレスを作ろうとしてくれるのだろうか?
騎士の私に……。
私は、不思議に思いながらも陛下にコーヒーを淹れて
持って行く。

「ルチア様。お飲み物をお持ちしました」

「ありがと……ってアイリス!?どうした?
先に寝ていたのではないのか?」

「ルチア様が起きているのに騎士の私が寝られません」

陛下をお守りしなくては……。
すると陛下は、クスッと笑われた。
な、何故笑うの?

「相変わらず真面目だなぁ……お前は」

私からコーヒーの入ったカップを受け取ると
縫うのをやめて飲んでくれた。しかし
どうして私のためにドレスを作ってくれるのかしら?
職人に任せる訳でもなく……。