陛下は、そう言いながら数枚のデザイン画を私に
見せてきた。えっ……こんなに!?
見てみるとセクシーで大人っぽいドレスから
可愛らしいドレスまであった。
しかもリアルにセンスが良くて上手い……。
「今回は、俺が1から1人で作るから
パーティーまで楽しみにしていろよ」
陛下は、ウキウキした表情で凄い事を口に出してきた。
はい!? 1から作るって……もしかしなくても
陛下の手作り!?
「いやいや。それだと申し訳ありませんから」
私は、慌てて止めた。てっか、
陛下……ドレスまで作れるの!?
お裁縫も得意だと言っていたけど……。
「そうですよ。ルチア様。
あなたは、他にも仕事があるのですから」
「何を言うか。ドレスは、俺が作る。
そのために職人と念入りに相談をして
生地まで選んだのだからな。
さぁ、今日から夜なべして作らないと」
ジョンも止めるが聞かず、それよりも
いつもより張り切る陛下だった。本気でやる気らしい。
私もジョンも呆れて何も言えなくなってしまう。
そして、それだけではなかった。
私の前にダンス指導の先生が現れた。
「今日からパーティーで恥をかかないためにも
あなたにダンスをみっちりと教えたいと思います」
「これは、どういうことですか……?」
私が唖然としていると陛下は、ニコニコしながら
「何ってダンスの特訓だ。
パーティーと言えばダンス。ダンスと言えば
男女との交流。俺は、せっかくなら
アイリスと踊りたいからな。
そのために、お前が踊れないと意味がない」と
とんでもない事を言ってきた。
いやいや。だから私は、騎士で
パーティーに参加をする訳ではありませんってば!!
本来の目的を忘れる訳にはいかない。
「さぁ、私の特訓は、厳しいですよ。
今からビシバシと特訓を始めます。まず姿勢」
「は、はい。」
私は、ダンスの先生に言われるがまま
特訓をさせられることに。
しかし。それの厳しいこと、厳しいこと。
まるで騎士になるための猛特訓の事を
思い出してしまった。