出来上がったパンを食べて驚いた。
ふわふわに柔らかいのに中身は、しっとり
まるでコックやお店で売っているようなパンだった。
パンは、クロワッサンからクリームパンに
あんパンなどなど。どれも凄く美味しかった。

「そうか、そうか。それは、良かった」

ニコニコと陛下は、満足そうに笑った。
ちなみに今、おやつに食べているのだが
私は、いつもの通り陛下の膝の上で食べていた。

「ルチア様ってパンとか
お作りになるんですね?意外……」

意外も何も普通は、作らないと思うが……。
私は、心の中で、そうツッコミを入れながら
気になったので尋ねてみた。

「あぁ、パンだけじゃなくケーキや料理も作れるぞ。
たくさん出来るとよく民の者に持って行くんだ。
そうだ。明日にでもお前にケーキを作ってやろう」

け、ケーキ!?
またもや凄いと特技を言ってくる陛下だった。

「えっ……ケーキまで作れるんですか!?」

「もちろんだ。他にも裁縫から編み物も出来るぞ。
今度何か作ってやろう。何がいい?」

陛下は、ニコニコしながら凄い事を連発する。
パン作りからケーキ作り。
そして裁縫から編み物まで手作りしちゃうとか
陛下……何気に女子力高っ!!
本当に何でも器用にこなしてしまう。

陛下って…普段は、ひょうひょうとしていて
マイペースだがハイスペックの才能の持ち主だった。
才能が計り知れない。
私は、唖然としながら紅茶を飲んでいた。
すると国王陛下は、

「こうやってパンを作っていると
母を思い出して懐かしくなるなぁ……」と
しみじみと口に出してきた。

陛下の……お母様?
と言うことは、女王陛下ってことになる。
どんな方だったのか実は知らない。

「そういえば、女王陛下って
どんなお方だったんですか?私……覚えてなくて」