私は、またバグ転して避けた。
そしてウエストポーチから新たに短剣を出すと
マスクの男に向かって数本投げた。
数本の短剣は、マスクの男に向かって飛んで行く。
しかし、それでは終わらない。
私は、両手に短剣を持つと同じぐらいの速さで
相手に攻撃した。だがそのマスクの男も
反射神経に優れているようで短剣を取り出すと
一騎討ちになった。
「くっ……お前。メイドではないな!?」
初めてマスクの男が喋った。
しかもなんて身のこなしなの!?
私も生まれつき身軽な方だがこの男も
同じぐらいだろうか。
だが、だからと言って負けられない。
「私は、メイドではなく女騎士だ!!」
右腕に短剣が、かすれるが私も負けじと攻撃した。
マスクの男の右腕に怪我を負わすことが出来た。
お互いに血がポタポタッと垂れ落ちた。
脚の辺りも怪我をしているはずだから私の方が
一歩リードだろう。
「いや……この身のこなしは、メイドでも
騎士でもない。忍びの才能だ!」
私を見ながらそう言ってきた。
しの……び?
するとマスクの男は、地面に向かって
何かを叩きつけた。
煙が出てきて視界が見えなくなってしまう。
「うっ……ケホッケホッ。何よ……これ!?」
そして煙が薄くなった頃には、
あの男の姿は、もうすでに居なかった。
私は、必死に捜すがなんて素早いのだろうか。
消えたかのように居なくなっていた。
チッ……逃がしてしまったか。
しかし彼は、気になる言葉を私に言ってきた。
忍びの才能とか……。
忍びとは、一体何なのだろうか?
それに私と同格の身のこなし。
あれは、普通の奴ではない。しかも、かなりの実力者。
彼の目的は、やはり国王陛下の命なのだろうか。
だとしたら彼は、イージスの住人?
いや……何か違う。
私は、そう思えてならなかった。
右腕を負傷したままお城に戻ると
国王陛下とジョンは、それを見て驚いていた。
「アイリス!?どうしたんだ……その傷は!!」