慌てて振り返ると弓矢が投げ込まれる。
私は、慌てて避けた。視線の方に目を向けると
遠くの木から木へと誰かが飛び越えて行った。
アイツか!?

「何奴だ?待ちなさい!!」

私は、その人物を追いかけた。
なんて身軽で素早いの!?
木から木へと、どんどんと飛び越えて行くため
追いかけるのに苦労する。

「ちょっと待ちなさい!!」

そう叫んでみるが、止まるわけがない。
仕方がない。止まらないのなら
無理やり止めるしかない。

私は、太ももから短剣を取り出すと
相手に向かって投げた。しかし身のこなしが
人間離れしているため上手く当たらずに
避けられてしまった。
チッと舌打ちをすると意識を集中させる。

ただ投げていても当たらない。
なら、予測して次に踏み出す前に足元を
狙うまでだ。私は、動体視力も優れていた。
次に踏み出す足元を狙い短剣を投げた。

見事に命中して木からドサッと落ちるが
その人物に驚かされた。
その人物は、脚を庇いながらも素早く身構えてきた。

「……えっ!?」

その人物は、黒い服に黒い頭巾を被り
口元を布で隠していた。
見たこともない格好をした男性だった。
年齢もまだ20代ぐらいか?

「貴様は、誰だ!?」

この男もイージスの住人か!?
するとその男は、名乗ることもせずに
私に何かの物体を投げつけてきた。
短剣か!?

私は、素早く後ろにバグ転しながら避けた。
何とか避けきれたが、あれは?
十字架のような特殊な形をした道具だった。

何、あの道具は!?
見たこともない道具に驚くがマスクの男は、
攻撃を止めなかった。
また私にあの道具を投げてきた。

「くっ……」