陛下の命令に素直に従う騎士達。
これは、大変なことだわ!?
相手が変装の名人だとすれば、今度は
何を企んでいるか分からないし

お城にも潜入をしやすくなってしまう。
それに下手したら敵か味方か区別がつかなくなる。
私も十分に気を付けないと……。

「ところで、そこに居るのは……アイリスか?」

ギクッと肩が震えた。
な、何故分かったのだろうか!?
私が隠れて聞いていたこと……。

バレたのなら仕方がない。
私は、ひょっこりと顔を出した。

「すみません……盗み聞きするつもりは、
無かったのですが」

「アイリス。今は、深刻な事態なんですから
勝手な行動は、慎んで下さい」

「はい……すみません」

うぅっ……ジョンに叱られてしまった。
しゅんと落ち込んでしまう。
すると陛下は、クスッと笑ってきた。

「あ、そうだ。アイリス。
畑に水をやっておいてくれないか?」

「えっ……はい」

「水をやる時は、愛情いっぱい込めて
やるんだぞ」

私は、思わず返事をしてしまった。
うっ……何だかいいように追い出されたように感じる。
私もあの中に入りたかったのに。
結局裏庭にある畑に水をやることになってしまった。

それにしても変装の名人。実力は、どんな奴かしら?
サツマイモに水をかけていると何処からか
殺意に近い視線を感じた。