「えっ~引き締めるより身体を動かしたい。
ほら、アイリス。早くこっちに来い」
ベッドをポンポンと叩きながら
早く来るように急かしてくる。
全然分かっていない……。
いや、むしろ疑うとか微塵も思っていないだろう。
あの性格では……。
「いいえ。私は、ソファーで寝ますから結構です」
そんな気分ではない。
そもそも私は、国王陛下のボディーガードであって
添い寝係でもない。
「何?ソファーがいいのか?
しようがない奴だなぁ……」
そう言いながら、頬を赤らめていそいそと
上着を脱ごうとする陛下。
いや、意味が違いますから!!
「私は、1人で寝るという意味ですから。
上着を脱がないで下さい」
「そんな謙虚になる必要はないぞ。
俺は、いつでもOKだから」
そう言いながら上半身裸の陛下が私のところに来た。
そして私をお姫様抱っこしてきた。
急に抱き上げられたから頬が熱くなってしまう。
「ちょっと……ルチア様!?」
「さぁ、飛びだとう。夢の世界へ」
国王陛下は、笑顔でそう言うとソファーに
連れて行こうとした。私は、必死に抵抗するが
気にせずにソファーで陛下に抱かれてしまった。
うぅっ……そんなはずではなかったのに。
翌朝。目を覚ますといつの間にか
ベッドの上で寝かされていた。
ルチア様は、私を抱き締めたままスヤスヤと
まだ眠っていた。
私は、重い身体を起こした。
着替えてメイドの仕事をしなくちゃあ……。
何とか国王陛下から抜け出そうとすると
起きたのか腕を掴まえられる。