「あの……私には、さっぱり?
何の話でしようか?」

私は、分からないため質問をしてみた。
するとジョンがため息を吐きながらも代わりに
答えてくれた。

「このお城にしろ。国に入るには、
門をくぐらないとなりません。しかし門や
周りには、厳重な兵や騎士達が監視をしています。
なのに、それをかいくぐってきた。
それは、何故だと思いますか?」

ハッとした。確かにそれは、おかしいと……。
ギルス大国は、高くて分厚い塀で囲まれているし
門をくぐらないと中に入れない。

それには、入会許可書が必要になるが盗賊なんて
怪しい者を入れる訳がない。
門の前に護衛をしている兵や騎士達は皆、
腕の立つ連中ばかりだ。

「先に潜入をして盗賊達を手引きしたか
またまた我が国に裏切り者が居るかどちらかでしょうね?」

裏切り者!?
私は、ジョンの言葉に驚きとショックを受けた。
まさか!?いや、そんなはずがない。

「私達……民は、国を愛しています。
裏切り者なんて居る訳がありません!!」

皆……この国を愛している。
それに不満を漏らす人を聞いたことがない。
裏切るなんて考えられないわ。

「アイリス。落ち着け。
俺もウチの国に裏切り者が居るとは思えん」

「ですが……ルチア様」

国王陛下は、信じてくれたが
ジョンは、まだ疑っていたからだ。

「それに何か隠されているように感じる。
いいか?この事は、民に漏らすな。
下手に裏切り者が居ると思われていると分かれば
不審を抱く者が増えるだけだからな。
民に余計な不安をさせたくない」

「……承知致しました」

陛下は、そう言って下さりジョンもそれに従った。
私も他の民達に不安な思いをさせたくない。
でも、じゃあ……誰が犯人?
それにどうやって……やったのだろうか。