「何だって!?」

どうやら我々が追跡をしていたリアーナという女は、
山道で無惨な姿で発見をされたらしい。
イージスが追跡を逃れるために
口封じとして殺したのだろうと言っていた。
なんて酷いことを!?

「利用するだけして口封じとして
殺すとは……随分と残酷な国だな。イージスとは」

国王陛下も呆れたように言っていた。
私は、それを聞いて許せないと思った。
もしかしたら、そのリアーナって女も国のために
やったことかも知れない。
それに深い事情があったかも知れない。
なのに……利用するだけして殺すなんて最低な国だわ。

「ふむ。証拠になる物は、何も発見されていないか。
ネックレスも処分されてるなら
イージスがやったと言う証拠は、無くなった。
仕方がない。別のルートで証拠を探すしかあるまい」

国王陛下は、ため息混じりにそう言ってきた。
証拠……それさえあれば攻められるのに。
すると今度は、兵が部屋に入ってきた。

「ルチア様。大変です!!
こんな物が城に投げ込まれました」

兵が持って来たのは、弓矢だった。
しかも何か付いている。
陛下は、弓矢を受け取ると付いていた紙を取り出した。
何が書いてあるのだろうか?

「随分と物騒な物を投げ込まれたな。
なるほど……『これ以上、追跡をするな』だと。
どうやら我々がイージスを追跡していることに
気づいての犯行らしいな」

「どうしますか?ルチア様。
イージスとの追跡の方は……やめますか?」

「いいや。続行をさせろ。
これは、我々に対する果たし状として受け取ろう。
どのみち、狙われる命なら相手に存分に
楽しませてもらおう」

ジョンの言葉に陛下は、気にすることなく
クスッと笑っていた。逆に楽しんでいる。
私は、国王陛下の考えている事が理解が出来なかった。
何を考えているのだろうか?
その自信といい……考え方といい。

「なぁ……それよりも気づかないか?
この弓矢といい……盗賊の潜入といい……」

「そうですね。私も気になっていました」

えっ……?陛下とジョンは、何かに気づいたような
発言をしてきた。しかし私には、
何のことかさっぱりと意味が分からなかった。
どういうことだろうか?