「盗賊にさらに口を割らしても時間の無駄だ。
本当に口を割らすなら、盗賊より一緒に行動して
まんまと逃げ出した女……リアーナと言ったか?
そいつを指名気配をして捕まえろ。
アイツは、見たところイージスとの内通者だ」
「あの女が内通者ですか!?」
陛下の一言にまた私は、驚いた。
あの人を騙して逃げ出した女が盗賊だけではなく
イージスの内通者だなんて……。
「あぁ間違いないだろう。俺に助けを求めて来た時に
甘い香水の匂いがした。盗賊として
行動するなら香水なんて匂いのつくものは使用しない。
それにチラッとイージスの紋章が入った
ネックレスをしていたし。
あの女は、イージスの人間だろうな」
クスッと笑いながら言ってきた。
陛下……そこまで気づいていたの!?
鋭い観察眼に驚かされた。
やはりただ者ではないかも知れない。
普段は、のんきでマイペースだから気づかなかったが……。
「では、そのリアーナって女を追跡します。
特徴とかは、ありましたか?」
「あぁ、それならこれを使え。
ついでに描いておいた」
ジョンがその女の特徴を聞くと
陛下は、1枚の紙を手渡してきた。
私も見てみると……リアーナって女の似顔絵だった。
しかもリアルに上手い。いつの間に!?
「えっ?これ……ルチア様が描いたんですか!?」
「俺が描いたに決まっているだろう。
一度見た奴の顔は、忘れん。これを使って捜させろ。
そして洗いざらい吐かせるんだ!」
「承知致しました」
陛下の細かい指示にジョンは、受け入れ頭を下げた。
絵が上手くて鋭い観察力。
そして何気に人を引っ張って行くカリスマ性。
やっぱり国王陛下は、ただ者ではないかもしれないと
私は、そう思った。
まだ陛下の底知れぬ才能に私は、
気づかないでいた。それから数日後。
国は、リアーナって女を追跡していた。
そして私は、いつものように国王陛下を捜していた。
「ルチア様。何処にいらっしゃるんですか~?」
もうまた、目を離すと何処かに
居なくなっちゃうのだから。
命を狙われているのに……まったく。
呆れているとミアが私に声をかけてきた。