そして私達は、帰ることになった。
皆親切にしてくて見送りに来てくれた。
お土産もどっさりと貰った。

「では、お世話になりました。
影近も……元気でね?」

私がお礼を言い頭を下げた。
そして顔を上げた時に影近を見た。
だが影近は、照れくさいのか目線を合わせない。
でも……後で

「あぁ、またこっちに来いよ。
今度は、もっと豪勢におもてなしをしてやる。
アイリスだけでも……」と言ってくれた。

「嫌だなぁ~影近。俺のお前の仲じゃないか。
もちろん行かせてもらうよ。2人で」

すると陛下は、私を後ろから抱き締めながら
ニコッと笑いながらそう言ってきた。
陛下ったら……。

「お前は、アイリスにベッタリで
うるさいからいい」

「嫌だなぁ~愛するが故だよ」

クスッと笑うと陛下は、影近に手を差し伸べた。
影近もぶっきらぼうながらその手を握った。
2人の間に確かな友情が芽生えたのだろう。
チラッと後ろに居るリュウ様を見たら
ニコッと笑ってくれた。

私も嬉しくなった。
すると祖父も見送りに来てくれた。
あ、ちゃんと挨拶をしていない。
それに、これを返さないと……。

「あの……この度は、お世話になりました。
ありがとうございます。
それと、これ……母の形見です」

私は、母の形見のペンダントを差し出した。
これは、伊賀の物だ。
祖父は、黙ったままそのペンダントを見た。

「それは、紅葉がお前にやった物だ。
お前が新たな持ち主……それをどうするかは、
お主の自由じゃ。好きにせい」

私に対してそう言ってくれた。
それは、母の形見だからと譲ってくれたのだろう。
嬉しい。今までのように大切にしたい。

「はい。ありがとうございます」