母の得意な術ですって!?
私は、驚いていると幸正は、フッと笑った。

「だが、紅葉の術で死ねるなら悪くない。
おい、お前らの勝ちだ。全ては、
当主である俺の責任だ。殺したいなら殺せ。だが、
甲賀の者は、許してやってくれ」

全ての責任を自分で取ろうとしてきた。
けじめとして……。
私は、戸惑ってしまう。別にそんなつもりはない。
不安そうに陛下を見ると陛下は、クスッと笑っていた。

「殺しませんよ。俺達は、
殺し合いをしたい訳じゃない。
そんな事をしても誰も喜びませんしね」

陛下は、そう言った。
そう……そんなことをしても誰も喜ばない。
もちろん母も……。

「私もそう思います。私だけじゃない。
母もあなたが死ぬ事も争う事も望んではいない。
私は、覚えてはいないけど母ならこう思うでしょう。
ごめんなさいって……そして
想ってくれてありがとうって」

あの声は、母だったように思えた。
きっと心配をして手助けをしてくれたのかもしれない。
すると幸正は、それを聞いて涙を流していた。
私は、驚いたが……それが彼の気持ちだと知った。

人の想いは、それぞれだ。
形が違うけどそこには、愛がある。
愛するが故なのだ。

こうして甲賀との争いは、終わった。
互いに話し合い和解することになった。
ただ責任として幸正は、当主の座を降りると言ったが
甲賀の皆に説得をされてそのまま当主として
残ることに……。実力も申し分ないし
甲賀の皆に慕われているようだった。