「大丈夫かい?アイリス」
リュウ様は、クスッと笑うと剣を払い除けて
攻撃をした。避けられてしまったが……。
お陰で助かったわ。
「くそっ……」
さっき陛下に弓矢で刺された忍びは、
苦しそうな表情をしながら木の上に移動した。
するとそれを見ていた影近は、クスッと笑った。
「随分と無様な殺られ方をしているな。洸牙?」
「うるせぇ……油断しただけだ」
もしかして知り合いだろうか?
名前を知っているってことは……。
それもそうか。伊賀と甲賀は、元々同じ忍びとして
隣の里同士、協力をしていたのだから。
すると後の方から馬に乗った甲賀の者が数人現れた。
その忍びは、中年男性なのだが
私から見て右目に眼帯をしていた。
前髪の分け目で隠れてはいるが、かなり
ダンディーな感じのイケメンだった。
「これは、どういうことだ!?
何故、伊賀に圧されている……?」
その中年の男は、驚いていたが
周りを見渡す時に私に気づいた。
私を見た瞬間。目を見開いて、まるで
不思議なモノを見たかのような表情をしていた。
「紅葉……?生きていたのか!?」
えっ……?
その男は、母の名前を呟いた。
「幸正様。お下がりください。
伊賀の忍び達に挟み撃ちにされました!!」
幸正……!?ってことは、この中年男性が甲賀の当主で
母の許嫁だった人!?
私も驚いたが、すぐハッとして構えた。
しかし望月幸正という男は、私を見て驚いていた。