「ねえ水瀬くん」




「…………」




水瀬くんはこっちに見向きもしない。




……ふーん。そうですか。


そんなにあたしに貸したくないですか。




「もういいよ!!鈴木(すずき)に見してもらうから!!」




その瞬間、ピタッとスマホを動かす指が止まった気がした。



まぁ、止まった気がしただけで気のせいかもしれない(というか絶対気のせい)。




あたしは反対隣の鈴木の方に向いて





「ねぇ教科書……」




そう言いかけたら




「おい」




水瀬くんによって言葉を遮られた。