「ずるいよ……っ!」


「は。なに?」


「だって、ドキドキさせてくる工藤くんはずるい……なのに工藤くんは、全然ドキドキしてくれない……!」



半分叫んでいたかもしれない。


もちろん、私じゃドキドキさせられないのかもしれないってことはわかってるつもり。


いっちゃんみたいな大人っぽさだって、経験値だって持っていない私。



それでも堪らず本音を零せば、工藤くんは私を下から覗き込んでこう言った。



「じゃあ、ドキドキさせて?」


「えっ……?」


ドキドキさせて……?
今、工藤くんがそう言った?


確かめるように目の前の工藤くんに視線を送る。


ちょっぴり挑戦的な瞳は、私から逸らされることはなくて。


私はゴクリと喉を鳴らした……。



「も、もちろんだよ……っ」



あ……地雷を踏んだ?

すごい勢いで言ってしまったから少し焦る。


自信もないし、そんな方法もなにもわからないけど。


それでも、これから全力で工藤くんのことをドキドキさせてみせます……!!