そして一瞬、考える素振りを見せると、



「あ。俺の方が欲張りかも?」


「……工藤くんが、よ、欲張り?」



聞き返すことだけでも精一杯。


なのに工藤くんは私の頭の後ろに回した手をそっと自分の顔に引き寄せて、



「こういう顔もっとさせたくなる」


「工藤くん……っ」



低い声で囁いた工藤くんに私はそれ以上、反論なんて出来るわけがなかった。



本当に、工藤くんってずるい。



いつもクールでなかなか掴めないところばかりなのに、いきなりそんな甘いことを言ってもっとドキドキさせてくる。



いつもいつもいつも、わたしばかりドキドキしてる。