「私、工藤くんの彼女になれて、それだけでも十分幸せなのに……。でも、欲張りかもしれないけど、もっと近づきたいなって……」



……返答が、ない。


沈黙がやけに重く感じる。

突然こんなこと言われても、工藤くんを困らせちゃうだけなのかな……。




---グイッ!!



「きゃっ………!?」



変な声が出ちゃったのは、工藤くんが私の手首を掴んで自分の方へと引き寄せたからだった。



「これで近づいた?」


「……っ!!!」



工藤くんの艶やかな黒い髪も、整った顔も、形のいい唇も目の前にある。



「そういう意味じゃ……てか、工藤くんわざとでしょ……っ、ホントはわかってるくせに……」



ずるいずるいずるい……。
抗議する私の真っ赤に染まった顔が工藤くんの瞳に映ってる。