「その日は、工藤くんに勉強を教えてもらって……」


「もしかしてだけど、工藤くんの家……とか?」



大きな瞳が答えを急かすようにゆっくりとこちらへと降りてきて、私は小さく頷いた。


事情聴取される人ってこんな感じなのかな……と、思った私の心情は、徐々に日野原さんによって壊されていく。



「……ふぅん。やっぱりそうだったんだぁ」



細くて長い指を唇に当ててちょっと考える素振りを見せる。



「あの、それがなにか……?」


「うん。日曜日、図書館で特進科のメンバーで勉強会があったんだけど。工藤くんだけ、欠席したから気になったの」


「え?」


「事前に誘ってみたんだけど彼女と約束があるからってすぐに断られちゃった」



はぁー、と不服そうに溜め息をついた。