でもいつからか、それを思う存分伝えることが許されなくなった


全てを失った今、これっぽっちも君には言えない


この状況が、これほど痛いものだなんて

考えられなかった
君が私の側からいなくなるなんて…
考えられなくて…考えたくなくて…
考えることを避けてきた

これまで、たくさんのすれ違いを経験した私たち
でも、その分たくさん乗り越えてきたから
そんな2人だから、今回も大丈夫だと思った

はっきりと発された言葉は、信じられなくて
私は現実を受け入れられていない
だからか、あの夜以降は普通に過ごした



でも

言えない

今日、面白いことがあった
今日、楽しいことがあった
今日、悲しいことがあった

言えない
話せない

誰かに聞いてほしい話を、誰にも言えない

誰でもいいんじゃない



「君」に聞いてほしかったんだ



これほど大きな存在だったのに、手放してしまった


どうすればよかった?

嫌われたくないから、君の希望はできる限り叶えたつもり

それじゃダメだった?


教えてよ
ねえ
もう泣かないって決めたのに…

ここ数日、ぐるぐるループする想い


イヤだ
離れないで
いかないで


当たり前だった、たったひとつの願い…



「戻ってきてよぉ…」


届きもせずに散っていく