「あ、こ…ち、らこそ…？…！」
消えるような声
相手も私を見て驚いている
人違いなんかじゃない


うそ、でしょ…？

どうして…？

ぶつかった男の人はすぐに声を発した

「…ゆ…うな…？」


「…ボソ…」
聞こえないくらい小さい声で呟いた名前…
久しぶりすぎて、とても…懐かしい


何が起きたのかはわからない

でも、気づいた時には、私が何度も感じてきた、あの暖かくて優しい、懐かしい温もりに包まれていた


頭がついていかない

どうして？

なんで私の目の前に現れるの？

こんな急に…
心の準備、できていない…


そして、この行動はなにを意味しているの？


「…ごめん…びっくりして…」

声、震えている？

てかいやいやいや
びっくりしてってこっちもだし、なんの答えにもなってない！


スゥ…
息を吸う彼
吐息が、耳に触れる

「会いたかった…ずっと」



誰に？？
まさか私じゃないよね？

だってあり得ないし…


「あの日、急に姿を消したお前を、ずっとずっと探し続けていた」


だから…なんで？

ばかなの…？

なんで探すのよ
嫌いになってもらうために取った行動なのに
おかしいよ…


「急にいなくなるもんだからさ、最初信じられなくて…
お前が行きそうなところ…2人でいった場所やお前の教えてくれた行きつけのお店、めちゃくちゃ行ったよ」

続く彼の言葉に、私は何も言えない
言いたいことが多すぎる


「でも、やっぱり見つからなくて、確信と同時に決めた」

「…」

「絶対、もっと良い男になって、少しでもお前の理想に近づいて…」

「…」




「いつ再開してもいいように、お前を守れる男になるって」



「っ…！」


ボロボロと溢れる雫は、あまりにも暖かくて…

温度を足しながら、頬を辿っていく