「あれーー?!?!私の筆が無いーーー!!!」


そう叫んだのは、私をいじめるグループの中心人物。東條来海(とうじょう くるみ)だ。

東條は焦りながら鞄の中を確認する。
そして思い出したかのように私の方に顔を向けた。


なに?なんでたった今痛めつけた相手の存在を忘れるの?日課になってるから?それが当たり前なの?


そう思ったが、私はハッとして自分の手元を見た。私は今、東條の筆を持っている。

勢いよく顔を左に向けると、東條来海がツカツカとこちらに歩み寄ってくる。

いや、そんな優しい表現では足りない、凄い気迫を放って迫り来ているの方が、東條来海のこのオーラの威圧感は伝わるだろう。


「ちょっと………その筆、私のよ。」

普段の男ウケの良い声とは裏腹に、低く暗い声音で私を脅す。