そんな事が重なり、2人はなかなか時間も合わなければ、休みも合わずにすれ違いの日々を送っていた。そのため、花霞は時々体調を崩したりしていた。

 それが梅雨の間の事だった。
 そんな忙しい中でも、椋は花霞の事を見守ってくれていた。椋の帰宅時間が遅いこともあり、朝御飯は作らなくていいよと伝えていたけれど、椋は夜のうちに、簡単なご飯とお弁当を作ってくれていた。そこには必ずメモ書きがあって、「お疲れ様!今日は大好きなポテトサラダ入れたよ」や、「帰ってきた時に可愛いから寝顔にキスしたら、笑ってたよ」などと朝一番に椋からのメッセージを見るのが楽しみになっていた。

 そして、夜はなるべくは彼を待って一緒に食べるようにしていたけれど、それでも遅くなる時は、今度は花霞が椋に夕食を作り、手紙を残していた。
 お互いにこの手紙を残していると知って、笑ってしまった事もあった。





 それでも、2人の時間が取れなくなってしまい、花霞は溜め息をつく日が多くなった。
 警察官になった椋は今以上に多忙になり、そして夜勤も始まるだろう。それを考えると、今まで以上に寂しくなる。
 それを考えると不安になってしまった。

 その日は、彼の帰りを待っていようと決めた。次の日は休みなので少しぐらい夜更かしをしてもいいだろう。そう思って、花霞は彼に買ってもらった花の図鑑を見たり、スケッチブックを開いてブーケやリースのデザインを考えたりしながら夜を過ごした。窓から見る景色は、キラキラとしており、その光の下では家族や恋人が一緒に過ごしていたりするのだろうか。ほんな事を考えてしまう。リビングはシンッとしており、花霞はますます独りきりのような気がして、切なくなった。


 「うぅー………寂しい………早く椋さん帰ってこないかなー」