「大丈夫だよ、真莉愛さんはそんな事で怒らないから…」

「うん…」

蒼生は頷く。

「なんかね、悲しいとかじゃないけど、嬉しいとかでもない」

ポツリ、蒼生に呟く。

「複雑なんだね…」

蒼生の手が、わたしに触れようとしている。
まだ男性は怖いけれど、壬生(みぶ)や蒼生、お父さんは平気になってきた。

「…蒼生、わたし、蒼生なら大丈夫だよ」

蒼生に言うと、蒼生は抱きしめてくれた。
その瞬間は幸せで、思わず、目を閉じた‐。