「全っ然、決まらないなぁ!」

あたしは進路希望調査票を片手に、ため息をついた。

「もう、壬生(みぶ)のお嫁さんってかいておこうか(笑)」

「俺は嬉しいけど、将来の夢とかないの?」

「将来の夢…ねぇ」

「夏喜ちゃん、眉にシワよってる」

「全然思い出せない(汗)
子どもの頃、何になりたかったんだっけ…?」

「まぁ、そのうち思い出すんじゃない…?」

「そのうちじゃ困るの!
この紙をなんとかしたいの!
…壬生と桃華は?」

「わたしはここの卒業生が働くケーキ屋さんで、働くの♪」

「俺は父さんの会社を継ぐ」

知らなかったけど、壬生の父親はある会社の社長だった。