書いたのは、矢野(やの)さんだとわかると、蒼生は矢野さんを連れてきた。

「矢野、桃華に謝れ」

「嫌よ」

プイッと矢野さんは顔を背ける。

「嫌だ嫌だと言いながらも、本当は気持ち良かったんじゃないの!?
たっぷり中出しされて、妊娠して、中絶してほんとの事じゃない!」

「…兄ちゃん、ハサミ、持って来て」

低い声で、蒼生は壬生に言う。

「殺す様な事はするなよ」

おそるおそる、壬生が蒼生にハサミを渡す。

「大丈夫、それはしない」

蒼生はそう言うと、矢野さんの長い髪の毛をザクザクと乱暴に切った。