蒼生(あお)を中庭に連れて行き、慌てて手を離す。

「体育祭での事だけど…変な言い方して逃げてごめんね」

「ああ、好きだけど、付き合えないって言ったやつ?」

「その事なんだけど、蒼生にはほんとの事、言っておこうと思って…」

「ほんとの事…?」

蒼生は首を傾げる。

「…そう、わたしね、母子家庭なんだけど…」

蒼生に全てを話した。
蒼生は最後まで、黙ってわたしの話を聞いてくれた。
聞き終えると、蒼生はわたしを抱きしめた。

「俺、全部知っても桃華が好き。
お母さんに黙って付き合うとか出来ないの?」

蒼生の言葉に、わたしは戸惑う。