「それでも好きで兄ちゃんを引き取ったのは自分たちでしょう?
ちゃんと育てないと」

「わかってる」

母さんは渋々、頷いた。

「ご飯は?」

「食べてきたからいい。
少し勉強してから寝るね」

俺はそう言うと、自分の部屋に向かった。

部屋に入り、買ってきたばかりの参考書を手にため息をつく。

「なんで参考書ってこんな分厚いんだろ…」

「あはははははは!」

突然、隣の部屋から聞こえた笑い声に苛立ち、

「あのぉ、勉強中なんですけど!」

兄ちゃんの部屋に入った。
すると、

「ごめんなさい」

桃華(ももか)がいた。
生の桃華を見るのは初めてだ。
写真では何度か見た事があるけど、やっぱり実物の方が可愛い。

「蒼生、ごめんね~」

夏喜(なつき)も謝る。

「桃華、この子は壬生の弟の蒼生」

「初めまして。
わたし、壬生の友だちの桃華です」

桃華が会釈するので、俺も慌てて会釈する。