街にはクリスマスソングが流れ、ツリーは色とりどりに輝く。

先程から、すれ違うのはカップルばかりで俺はうんざりした。

「何がメリークリスマスだよ…」

恨めしそうに呟き、俺は足元に転がっている石を蹴る。

俺、星野(ほしの) 蒼生。
中学3年生。

今は塾の帰り。
外は寒く、足早に帰路につく。

「ただいま~!」

家に帰ると、何やら騒がしい。

「おかえりなさい」

母さんがリビングからやってきた。

「なんでこんな騒がしいの?」

母さんに聞くと、

「壬生(みぶ)が友だちを連れてきたのよ」

嫌そうに、母さんは答える。

「なんで兄ちゃんの事、嫌いなの?」

「壬生はあたしの本当の子どもじゃないから」

母さんはそっけなく答える。