「1つの家に、トイレが2つもあって羨ましい~!!
うちなんて、朝はトイレの取り合いだからね」

だけれど、壬生はなんだか悲しそうだ。

「トイレも浴室も俺専用のものがあり、食事はみんなと食べれない、それでも羨ましい?」

「壬生、なんでそんな生活を送ってるの?」

「俺は初めは望まれた子だったけど、蒼生(あお)が出来てからは母親は冷たくなった…」

「そう、だったんだ…。
とりあえず、トイレ借りるね!」

あたしは壬生の部屋を出ると、トイレに入り、用を足した。

トイレから出ると、綺麗な女の人が立っていた。

「初めまして~。
壬生君の同級生の」

挨拶をしようとしたが、女性は一瞥しただけで、通り過ぎて行った…。