これは聞かなかったことにして、早くこの場を去ろう。



……と、思った時にはもう遅い。




「盗み聞き?」




すぐ後ろから声がして、ビクッと肩を揺らした。




「…あ…」




振り返ると、これまたものっすごいイケメンが。



黒髪に紫のメッシュを入れ、ふわふわな髪の隙間からピアスがついた耳がのぞく。



大人っぽい雰囲気…。きっと先輩だ。



盗み聞き?と聞いてきたということは、あの不良集団のお仲間なのでは…!?




「き、聞いてません!!
偶然通りかかっただけで…」



「へぇ。そうなの。
アイツら負け犬の遠吠えだから、気にしなくていいよ」



「……へ?」



「大丈夫。
俺は、仁の方の味方だからさ」




そう言って人差し指を唇に当て、ウインクをする。



あの不良集団の仲間ではないんだ…。



よかった…。殴られないっぽい。