「パソコンで管理すればいいのに」


元浩が後ろでそんなことを呟いている。


「宝来亜香里さま……。そんな名前の仏様はいらっしゃらないようですが」


住職が難しい顔で言う。


「そんなことはないはずです。その子は、昔流行った感染病で亡くなったんです」


広貴が早口で説明すると、住職は目を丸くした。


「あの感染症の仏さまなら、この寺に多くいらっしゃいます。しかし、宝来亜香里という方はいらっしゃらない。もしかしたら、どこか別の場所にいらっしゃるのではないですか?」


そう言われて、あたしと愛奈は目を見交わせた。


せっかくここまで来たのに亜香里ちゃんがいないとなると、次の打つ手がなくなってしまう。


それに、あのサイトに乗っていた情報がも間違っていたことになるのだ。


「弟の洋司さんも一緒に眠っているはずなんですが」


広貴は食い下がってそう質問をした。


「洋司さんですね……すみません。そちらの名前も見当たりませんね」


住職は眉を寄せている。