『起きて!!起きて二人とも!!』
大声で二人を揺さぶり、無理矢理起こす。
雅「なあに楓…」
『早く!!嫌な予感がするの…。』
そう言えば、やっとのことでママも起きる。
『…あれ?ママ、何か若返ってない?』
そう声を掛けると、ママは何のことか分からないのか首を傾げる。
いや、本当に、元々年には合わず若かったけれど…本当の意味で若くなってる。
『…ああもう!!そんなこと言ってる暇ないな…行こう!!』
そう言って二人の腕を引っ張り、少し駆け足で進む。
『…っ、』
雅「楓どうしっ」
『しっ』
大きな声を出そうとする雅の口を閉じ、木陰に隠れる。
ママは瞬時にそれを悟ったらしく、同じように木陰に隠れてくれる。
雅「…楓…あれ…」
『…うん。』
顔も、身体も、人とは違いどことなく大きく、目を剥いている…あれは、
『鬼だ…。』
それも、
麗子「鬼滅の…鬼…?」
『…そうだね。』
この状況から察するに、何が起こったかは一目瞭然。
『…僕達は、鬼滅の世界にトリップしたらしいね。』
そういうと、雅が一瞬ひゅっと息を呑んだのを感じる。
でもその顔は、すぐに嬉しそうなものへと変わっていく。
雅「ってことは、炭治郎に会える…!?」
麗子「不死川くんと伊之介も楽しみ〜。」
『二人とも呑気だな…!?』
小声のまま大声を出す、という器用なことをする。
『会う以前に死ぬよ!?これ死ぬよ!?僕達刀ないよ!?日輪刀ないよ!?
そもそもあったところで刀とか振れないし全集中の呼吸とか使えないし無理だよ普通に考えてこれ死亡フラグだよ!?』
一気にまくしたてれば、二人はポカーンと僕を見遣る。
麗子「…お前は善逸か。」
『いや考えて!?剣士でも何でもない、鬼殺隊でさえない僕らが勝てる相手ではないよ!?』
雅「ここは王道、誰かが助けに来てくれるパターン。」
『それになるなら誰も苦労しませんから!?』
全力でこの二人にツッコミを入れすぎて少し疲れてくる。
いや、普通の呼吸すらままならないんですけどどうしてくれんの。
ていうかあなた達いつまで首を傾げてるの意味は分かるよね分かるって言って??