「ディオン」


「……帰るか。オレら、ハヤテと違って帰宅部だし、学校にこれ以上いたってなー」


名を呼ぶと、先ほどの微笑みを消し、今度は優しい笑顔を浮かべる。

いつものディオン。


「………ハヤテって部活、入ってたんだ」

「………お前、ハヤテが聞いたら泣くぞ」

「で、何部?」

「あいつも帰宅部だよ」

「………?」

「色んな部活に助っ人として駆り出されてんの。今回は確か、サッカー部だったかな」

「へ〜」

「今度の大会の助っ人頼まれたんだと。で、今日から大会まで練習らしい」

「ふうん」



何でもない話をしながら、屋上を後にする。






ディオン。


君はきっと、気づいたから遮ったんだね。

あのあと、なんて続くか…。





『俺は彼女たちに』





――――返せる思いを持ってないのに。

(好いてもらっていい人間じゃないのに)








だって…俺は………。






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