「名前。教えて」
「お、れは、ヒスイ、です」
「そう。俺は…ジェイド、だよ」
母さん、いやジェイド…さんが手を差し出したから、俺も反射的に手を出し握手をしてしまった。
「ヒスイくんは、納得できてないみたいだし…しばらく俺に付き合う?」
―――え?
「おい」
「ヒスイくんは俺を母親だと思ってるんだよ。なら、しばらく一緒にいて、違うってわかってもらうしかない、でしょ?」
「でもな…」
「俺もちょっと事情があってしばらくこっちいるし。俺的には、用事の方に支障がなければいいよ。
あとは、ヒスイくん次第…かな」
前半をシノグさんへ、後半は俺へと問いかけてきた。
ジェイドさんは、‘さぁ、どうする?’と俺を見ている。
シノグさんはそんなジェイドさんに、何か言うことを諦めたのか呆れた様子で黙って見てる。
‘どうする?’
これは、この人が俺の母親ではないと…俺が知るために、この人が提示してくれた案。
確かに、俺は納得できてない。
.