母さんは、昔、家を出ていった。
そして父さんは、母さんが死んだと言った。
そう思えということではなく、本当に死んだんだと…。
父さんだけじゃない。
シノグさんも、お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも…みんな。
俺と弟は戸惑うばかりで…。
そして………。
本当に母さんの葬儀は行われた。
遺体はなかったから、形だけだったけど。
確かに葬儀は行われた…。
……でも。
俺は今でも…、母さんは生きてると思ってる。
「納得してないって…顔だね」
「っ、それは…」
「……名前は?」
「おい?」
母さんの突然の言葉に、俺は声がでない。
シノグさんは「何言ってるんだ?」という顔で母さんを見た。
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