捕らえた腕。 この腕は、母さんの腕…。 心臓がバクバクいってる。 これは走ったから、だけじゃない。 緊張してるから…。 「…母さん」 ゆっくり、呼ぶ。 声が掠れたかもしれない。 手が震えている。 怖いんだ…。 面と向かって話すのが。 母さんはゆっくり振り向いて、俺を見た。 目が、合う。 「ん? ヒスイじゃん。何してんの?」 母さんが口を開こうとした瞬間、誰かの言葉に塞がれた。 .