「坊ちゃんも大人になりましたね。あなたの口から、そんな言葉が聞けるなんて、私は……」
完璧にメガネを外してゴトウは目を覆う
「お願いします。組長を……助けてください」
ゴトウはずっと病院を探してくれていた。手術を受け入れてくれる病院を。
でもどこも手術待ちの患者や…
かなり進行してしまっているため、延命治療しかしてくれない所ばかりだったようだ
「うん、信じて?悪いようにはせんから」
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「杏、ありがとう」
心から思うよ
ゴトウは親父の元へ行き、俺たちは病院の売店にいる。
隣にいる杏は、いつもの無邪気な杏
でもさっき、ゴトウに名乗り、ゴトウを黙らせたあの佇まいは…
日本を背負う財閥の人間なんだなと思った。
こんなにも近いのに、遠く感じてしまう
「あ、電話や」
杏は携帯を取り耳に当てて話し出す
「志木?明日東堂の病院に、泉のお父さん送るし、頼んだで?」
…志木
杏のお世話係のような男
杏を昔から知る人物
「へ?なんでよ!そんなんええし、病院優先や!」