入ってきたのは黒塗りの車。
「だれだ!?」
「とまれ!!」
月城組の組員たちは拳銃を車に向けるが、車はとまることなく近づいて。
組員たちは避けると、その車は月城組組長と月城岳にぶつかる寸前のところでとまった。
そして、車から出てきた和服姿の人物。
その人はものすごいはやさで月城組組長の元へと向かい……月城組組長の頬に拳を入れた。
一瞬の出来事。
聞こえてくる鈍い音。
吹き飛んで地面に倒れる月城組組長。
ただ、私は瞬きを繰り返す。
「直秀、いい加減目を覚ませ」
拳を入れたあとに、そう言ったのは──……一条組組長、一条暮人。